「よし、気に入った。」

しばらく薫さんと話していると貴樹さんが声をあげた。

「心春といったか?
今日の仕事が終わったら今晩、歓迎パーティーをしよう。

俺のことはお義父さんって呼んでいいからな。
好きなだけ甘えてくれ。」

そう言って貴樹さん改め、お義父さんが大きく笑う。

「私のこともお義母さんって呼んでいいんだからね。」

「ありがとうございます。」

私はそう言って頭を下げた。

二人は私を信じてくれた。
私は本心も何もかもを隠しているのに。

私はそんな彼らを騙さないといけないんだ…

ちょっと心が傷付くのがわかった。

「翼、部屋に案内してあげて。」

お義母さんが桐島君に伝えて、私は彼に促されてソファから立ち上がる。

私はドア付近で頭を下げて部屋を出た。