「相変わらず、いい曲ね。」

櫻さんは『Count Number』が終わるとそう感心したように呟いた。

「当たり前でしょう?
あすりんの曲がいい曲じゃないわけない。」

私はそう言ってまた画面を見つめる。
すると『届け』のMVが始まる。

あすりんがイスに座って俯いていた。

ここは同じなんだ…と心の中で呟く。

私は曲を聞きながらソロ曲の振りで小さく手を動かす。

MVは真っ白な部屋で踊っているあすりんとあすりん演じる片想いをする女の子の告白しようとするが勇気がでない…
そんな葛藤を描いたドラマが交互に写る。

そもそもこの曲は恋する女の子への応援歌だそうだ。

私をモデルにした曲がなぜ恋する女の子へのものになるのかは私には理解できない。

「凄い…」

私の作った振りとは違うが、同じようで違い、何かスレ違いを感じる振り。

見ていると隣で踊っている私の影が見えるような不思議な感覚に陥る。