あの後、数分間抱き合ったままでいた。
そして私は今、自転車に乗っている。

今も聖也さんと付き合っているという実感がわかない。
けれど首もとで光るペンダントが夢ではないと教えてくれていた。

家に入るとやはり碧兄が一番に出てきた。
碧兄は私の姿を見ると目を見張る。

「何かあった?」

「いや、そのペンダント…
心春、持ってなかっただろ?」

一瞬にしてペンダントを見つけ、しかもそれを私が持ってなかったこともわかってしまう…ここまで来ると気持ち悪い。

「クリスマスプレゼントでもらったの。」

私はそれだけ言ってリビングに向かう。

「おかえり、心春ちゃん。」

「ただいま。」

私は紅茶を飲む櫻さんの隣に座る。

「今、テレビ見てる?」

「あ、心春ちゃんと見ようって思ってたのがあるんだ!
でも先いいよ?何見るの?」

櫻さんはそう言って私に譲ってくれた。

「今日、藤嶋飛鳥のCD買ってきたからMVのフル見たくてね。」