私は目を閉じて全てを聖也先輩に委ねた。
揺れを全身で感じていた。

しばらくすると柔らかいものに乗せられた。

「先生には過呼吸って伝えてるけど、この後の部活どうする?」

「少し休んだら出ます。」

私がそう言いながら体を起こす。
先輩はベッドから腰を上げた。

「先輩、もう少し一緒にいてくれませんか?」

私は思わず先輩の手を握る。
すると先輩は近くにあった椅子に腰かける。

「10分だけ寝ちゃっていいですか?」

「いいよ。」

先輩は私が握る手を握り返してくれた。

「ありがとうございます。
10分経ったら起こしてください。
あ、ここにいてくれないと…やですから」

私はそう言って意識を手離した。


――やっぱり辛いときに近くにいてほしい人は聖也先輩だな…

真っ暗な中でそんなことを呟いた。