お隣さんと内緒の恋話


私と違って嫌な顔を見せない葵は素直に先生についていく。

その後を私はダラダラとついていくが、柚奈に振り替えると ニコニコして壮真の横で手を振っている。



私にも彼氏がいたら ダサ男くんと土運びなんか…

サボってから 何かと一緒になるんだよねぇ、なんの縁よ、まったく。



「 上山くん、織原さん、ここにある土を全部運んできてね。先生は先にみんなと畑回りをキレイにしておくから 」

「 はーい 」



先生がみんなの所へ戻り、残された私と葵は土の山を見つめた。



「 これ全部運ぶの?」

「 培養土がないと野菜は育たないだろ 」

「 あ、そう… へぇ 」

「 俺がやるからいい 」



お、優しい?



「 私もやるからいいよ、先生に言われたんだし 」



上山 葵に一人やらせたら何言われるか…

土を小分けしカートに乗せて一緒に運ぶ。



「 上山 葵さぁ、自分のアダ名知ってる?」

「 知ってる 」



何聞いてんの、私は…

でも 会話がないと沈黙はちょっとね。



「 なぁ、なんでいつもフルネームで呼ぶんだ?」



あ、言われてみれば 確かに。



「 そう言う あんたは私を名前で呼んだことないじゃない 」



私の名前知らないとか?

だったら笑える。