極悪プリンスの恋愛事情



『───で、花野井ちゃんは結局どこいるの?』

「えっと、中庭………かな」

『また中庭なんだ?』

「なんか気づいたら居た、みたいな?」


………嘘。これも言い訳。

本当は、保健室から1番遠い所に行きたかった。たったそれだけの単純な理由。

つぐつぐ私は面倒くさい女だなって実感する。


『じゃあそのままそこに居て。そっち行くから』

「えっ」


なんで?と聞く前に電話がプツリ。

切られた……。


通話終了画面を見て数秒フリーズ。細い息を吐きながら、その場に座り込んだ。


「岸本くんのおせっかい……」


私をこんなに気にかけてくれるのは、相手が凛くんだから?

幼なじみだからほっとけないのかな。

………と、思う反面、私のことをどう思ってるのか気になっている。


好きだって言われたけどそれ以降は何もない。

いつも通りだし、相談も乗ってくれるし、普通にいい友達のまま。


岸本くんは何を想っているんだろう。