そのなみだに、ふれさせて。




「会長?」



「……、何やってんだアイツ、」



彼が動揺を見せたのは、ほんの一瞬。

だけどみんな転校生への興味を惹かれてしまい、「お知り合いなんですか?」と会長にそれとなく分かりきったことを聞いてみれば。



「知り合いっつうか……彼女だよ」



……え?



「入学してまだ3ヵ月経ってねえのに……

なんで何の相談もなく勝手に転校してんだアイツ……」



表情が、凍る。

……いま、なんて言った? 彼女?




「会長……

いないって散々言ってたくせに彼女いんじゃん!」



「やだ、いつから……!?

あたしたちにいつから秘密にしてたの!?」



「いつからって……

お前らが入学して出会う前からだよ」



「うっそ超長続きしてんじゃん……」



幼なじみコンビが衝撃を受ける中、わたしはただ、何も言えずにうつむいた。

……会長、ずっと、彼女いたの?



「入学してまだ3ヶ月も経ってないってことは……

会長の彼女って、俺らと同い年ですか?」



ちーくんの問い掛けに、ハッと我に返る。

顔を上げたタイミングで会長がそれを肯定したことで、頭の中は真っ白になった。