はっ、として前を見た。 そこにはにやりと不気味に笑う風。 「思イ出シタ…?ヒラタ リナ…」 私はすべてを思い出した。 忘れたかった、最悪の記憶を。 そして、“ヤツ”がなぜ、水が弱点なのかもわかった。 それは、トイレでのいじめがトラウマになったからだった。 「私ハソレカラ、アノ3人ヲ殺シタ…。復讐シタ…」 ふふふ、と風に乗り移った香は笑った。 「包丁ヲ向ケタ時ノ、アイツラノ顔ハ…最高ダッタ…」 私は怖くなってしゃがんでしまう。