「ふぅん、じゃあ終わったら連絡してね。校門で待ってるから」


「分かった」



静に手を振ってそのまま後輩ちゃんの真横を通り過ぎた。

気の毒に、名前も知らぬ彼女は目に涙を浮かべて手をぎゅうと握りしめて唇を噛んでいる。

こんな顔だけのやつよりもあなたにはきっと、もっと素敵な相手が現れるからさ。元気出してよ。


「………ごめんなさい」



小さく口の中だけでつぶやいた謝罪は彼女には聞こえていない。

ジャリジャリと歩く度に聞こえるコンクリートの擦れる音は、私が台無しにした淡い恋心の残骸を踏み付けているように聞こえた。


この中には勿論、私の分も入っている。


伝えられないまま砂に混じった可哀想な私の気持ち。