恋人は君以外で

私だってこんなことしたいわけじゃない。でも、気がついたら静の言いなりになっているのだ。

一回了承してしまえば、二回も三回も同じ。そんな策略にまんまとのせられた自分が情けない。



「……なっち、お出ましだよ」


「分かってるって……」


静を呼び出した女の子には悪いけど、これも静のお願いなんだ。


ごめん、と心の中で手を合わせて物陰へ潜んだ。



「あの!和泉先輩、えぇと、その」


「うん、こんにちは」


「はっ、はい!こんにちは…です」


距離にして3m。

静の表情はわからないけど、顔を真っ赤に染めた後輩ちゃんの表情から大体察した。

あぁ、可哀想。

勇気を振り絞って告白する相手がこれだなんて。