あたしは、キャラを変えなかった。
だって、彼に近づくためには、このキャラが一番なんだもん。

ともかは、優等生キャラに変えていた。
彼女、クラス委員長をやるみたい。

若葉は、なんだか変わったみたい。
あたしと会うときは必ずおかしい。でも、みんなと会っているときは、普通。
あたし、嫌われてる?

湊は、人気者になった。
前々からの明るいキャラがヒットして、今や湊のクラスの人気者。


なんだか、変われなかったのはあたしだけか。

なんだか悲しくなる。


親衛隊は、あの事件があってから解散した。
でも、あたしは彼と仲良くなることができた。
たまたま通りかかった彼に筆箱を拾ってもらった。
そこから、仲良くなるのは早かった。




そして、今に至る。
バレンタインデーに告白したあたしはめでたく彼と付き合うことになった。
最初は、すごく嬉しかった。
でも、人を殺した、っていう罪悪感が彼といると沸々と湧き上がって来て、心がどうしようもなく潰れそう。

もっと、やり方はあったんじゃないかな、なんで今は思うけど、
そうでもしないと今彼と付き合えていない、ということを考えると
そんなのどうでも良くなる。

そういえば、あの女の事件の犯人だけど、
転落死、と言われ、自殺となった。


だから、あたしは何も疑われていない。
ただ、あそこにいた運の悪い生徒になっている。

というか、一年経った今。
誰もあの事件について話す人はいなかった。

でも、彼は。三日月秋斗だけは違った。
彼は、あの女の命日に、あたしを呼び出して、
あの女の話をする。



こっちは思い出したくないのに…!

でも。自分のしたことだ。と自分を戒める。



彼と過ごすと、楽しいけど。
あのことを思い出させるのはやめてほしい。


「なぁ、俺。幼なじみがいたんだけどさ。
自殺した、って。
何がダメだったんだろうな…」

「なんでそんなこと言うの!?彼女は…。
秋斗に不満があって亡くなったんじゃないと思うよ!
…もっと自信もってよ…!」

「ごめん、ありがと。」


あたしは、彼のために一生を尽くします。
たとえ、どんなことがあっても。