「それもたまたま……」
そんな嘘、通用しない。
自分でも言っていて、説得力はゼロだな、なんて思う。
だって、目の前に証言者がいるんだもん。
そして、私はもっと衝撃的な事実を受け止めざるを得なくなった。
「あと、私見ちゃったんだよね。絃ちゃんが雅さんとマンションに入っていくとこ」
……!
確かに図書館で勉強した帰り道は、もう周りも暗いし、どうせ帰る場所も同じだからと、一緒に帰っていた。
そこも見られてたんだ。
「怪しいなって思って、次の日も気にしてみてたの。そしたら、葵くんと蓮くんと絃ちゃんが一緒にマンションから出てきたから……」
…………っ!?
嘘、でしょ?
話によれば、私たちの姿を見たというその子は、今住んでいるマンションの近くに家があるらしい。
だから、今日この日まで私が佐伯家3兄弟と同居してることがバレていなかったのが奇跡だ。



