「絃ちゃん」
「……雅さん」
雅さんは、どこか吹っ切れていて、初めからわかっていたようで。
「なんとなくだけど、絃ちゃんは蓮を選ぶんじゃないかと思ってたよ」
雅さんはそう言って優しく笑う。
「ごめんなさい、雅さん。とても良くしてもらってたのに……」
「謝ることなんてないよ。絃ちゃんが蓮に惹かれたって、それだけなんだから。それにね……?」
そう言葉を続けようとする雅さんは、今までで一番幸せそうな顔をしていて……
「絃ちゃんと似ていて、俺のことをずっと好きでいてくれる女の子がいるんだ。少しずつだけど信じて、前に進みたいと思う。変えてくれたのは絃ちゃんだよ、本当にありがとう。」
雅さんは、そう口にした。
雅さんはどこまでも素敵な人だと思う。
だから、きっと幸せになって欲しい。
そのためなら私、精一杯雅さんのことを応援する。
「こちらこそ、本当にありがとうございました。雅さんとその方のこと、応援してます!」
雅さんは、きっと幸せで温かい家庭を持てると思う。
過去のことなんか乗り越えて、きっと。



