「「ハッピバースデートゥーユー♪」」
音楽と共に聞こえる3人の声。
大人っぽい声と、面倒くさそうな声と、楽しそうな声。
真っ暗な部屋の中に灯るロウソクの光。
そのロウソクが刺さっているのは、イチゴの乗った大きなホールケーキ。
「うそっ……」
そのケーキは食卓テーブルの上に置かれて、私は葵くんに背中を押されながら、そのケーキの前まで移動する。
「「ハッピバースデーディア絃ちゃーん!ハッピバースデートゥーユー!!」」
「さぁ、絃ちゃんロウソク消して?」
「うん」
多分隣にいるであろう葵くんにそう言われて、ふーっとロウソクの火に息を吹きかける。
「……あれ?」
……うーん、どうしてだろう、消えない。
「そこは一発で消せよ」
「う、うるさいなぁ……」
もう1回ふーっとしたところで、やっとロウソクの火が全部消えた。



