「もしもし、瞳?」
画面には瞳と映し出されていて、すぐに通話ボタンを押す。
『もうそろそろ帰る時間かなーって思って……今大丈夫?』
大丈夫どころか、ベストタイミング。
遼くんとは別れたし、多分家に帰ればあの3兄弟が騒がしいから、ちょうどいい。
「うん、大丈夫だよ!今ちょうどマンションまで帰ってきたとこなの」
『え、じゃあ間に合った!』
……?
電話の向こうで嬉しそうにする瞳に、私はハテナを浮かべる。
一体何が間に合ったんだろう。
『やっぱり今年も絃は覚えてないのね?』
「え、本当になんのこと?」
そう言われても、全く何も思い出せないし、何も閃かない。
『絃、誕生日おめでとー!!』
「ふぇ?」
隣にいるのかと言うくらい大きな声でお祝いしてくれた瞳。
そう言えば……



