「遼くんの意地悪、ばかっ」
「好きな女の子には意地悪したくなっちゃうって言ったでしょ?」
はぁ、もうこの人は。
「あーもうこんな時間。寂しいけど帰らなきゃね」
ふと時計を見てみると、もう6時半になっていた。
映画を観てると、時間なんてあっという間に過ぎちゃうから。
「そうだね。今日は門限つけられちゃったし……」
そういや、本当になんで今日だけ門限なんか。
悩んで考えてもらちが明かないまま、気づいた頃にはマンションの前に着いていた。
「遼くん、今日はありがとう」
「ううん、いいんだよ。絃ちゃんとデートできて俺も嬉しかったし!」
本当に嬉しそうな顔をして笑ったあと、「でも……」と何か複雑そうな表情を浮かべる。



