好きって言えよ、バカ。





それからまたしばらく歩いて見えてきた、この辺では大きな図書館。



しっかり勉強スペースも設けられている。



「絃ちゃん、こっち」



雅さんにそのまま連れられて来たのは、図書館の一角。



2人が並べる程の机と、その前に小さな小窓があって、中庭が眺められる小さな勉強スペース。



まわりと仕切られているから、まるで個室のようなつくりだ。



「ここ、俺の特等席」



雅さんから話を聞けば、高校受験や大学受験の時によくここを利用して勉強をしていたそう。



いわば、雅さんのお気に入りの思い出の場所。



「ほら、座って」



「はい」



隣に座るように促されて、空いてる椅子に腰掛ける。



座って並んでみると、雅さんとの距離が思ったよりも近くて、触れてしまいそうなその距離に胸がドキドキする。



雅さんは、嫌じゃないんだろうか……



そう思って顔を覗いて見ても、特に気にしていないようだった。