「待って……待ってください、雅さんっ」
「え、あぁ、ごめん」
私の腕を掴んでいた手が離れる。
私の手を引いてあの場から歩いてきたのは、無意識だったらしい。
「さすがにまだ女に囲まれるのは居心地悪くて、早く離れたかった」
……そう、ですよね。
女遊びをしてた頃の蓮くんくらいなら、喜んで受け答えするだろうけど。
つい最近まで、女の子は絶対、1ミリたりとも近づけなかった雅さんだから、あの状況はなかなかキツいかもしれない。
そんなことを考えて、同情してしまう。
けれど……
「でも、学校に来るのはダメですよ!」
「なんで?」
なんでって。
意味がわからないというふうな顔で私のことを見る雅さん。
そんな顔されても、ねぇ?
お陰様で校内中大騒ぎ。
きっと明日なんて、私の居場所はない。
蓮くんが助けてくれるなんて思わないし……
そもそも助けてくれたとしても、私と蓮くんが会話なんかしていたら、さらに状況が悪化してしまう気がする。



