「あー、怒ってるねぇ」
「見えるの?」
「いや、すごい痛い視線を感じる」
……ほぉ。
またバチバチと何かが飛んでらっしゃるのですね。
「おーい、聞こえる?」
聞こえてるという合図なのか、雅さんが片手を上げる。
「モタモタしてたら奪っちゃうよ?絃ちゃんのこと!」
……はぁっ!?
遼くんってば、何を言い出すの!?
マンションの真ん前で、それもそんな近所迷惑になりそうな大声で!
ひいぃ……怖いっ!
「じゃあ行こっか」
「あ、うん、……っ」
放っておいていいの!?
そう思いつつも、まんまと遼くんのペースに乗せられてしまう。
自然と繋がれた遼くんと私の手。
ゴツゴツとしたその手は、やっぱり男の子の手で、私の手なんてすっぽり収まってしまう。



