そして、無事に校門から出られて、ほっと一息ついた矢先のことだった。
「絃ちゃん」
……っ!?
とっても、とーっても嫌な予感がする。
あのクールで優しい声と、後ろから刺さる鋭い大量の視線。
「絃、呼ばれてる」
「……き、気のせい、じゃないかなぁ?」
うん、うん。
ありえないから、そんなこと。
上手くすり抜けたもん。
気づかれてなんか、いないはず。
「ねぇ、無視しないでくれる?絃ちゃん」
その声は真後ろから聞こえる。
……バレた。
完全にバレてるよ、これ。
「……雅さん、ですよね?あの……私に何か用事が……」
恐る恐る振り返ると、やっぱりそこには雅さんが立っていた。
背の高い雅さんの後ろからは、さらに鋭い視線がこちらへと向けられている。
ひ、瞳……助けて。



