「ちょっと、用事がありまして……」
「そんな格好して、誰と出かけんだよ」
「れ、蓮くんっ!?」
雅さんが開けたリビングのドアの向こう。
ソファーに座っていた蓮くんが後ろを振り向いて、私の姿を見つけるなり不機嫌そうに言う。
「そんなの、関係ないじゃん」
この3兄弟は、恐ろしい程に勘がいい。
「もしかして誰かとデート?」
「ふぁいっ!?」
……あ、噛んだ。
そんな可愛らしく首を傾げるなんて、狙ってるんですか、葵くん。
「いや、瞳とね?」
「嘘つくなよ。本当、下手くそだよな、お前」
ひぃ……バレてる。
蓮くんの目が笑ってない。



