「やっぱり、絃ちゃん可愛いね。早く俺のものになっちゃえばいいのに」
「なっ、ちょっと……!」
耳元で囁くなんて、ずるいっ。
ギュッ抱きしめられて、遼くんの腕の中でもがくけれど、男の子の腕の中からは逃れられるはずもない。
今が放課後で、近くに誰もいないのが不幸中の幸い。
こんなところ誰かに見られてたら……そう考えるだけで恐ろしい。
「じゃあ日曜日に迎えにいくね!」
「あ……うん」
そう返事をしたところで、あの3兄弟の家にまで来て大丈夫かと心配になる。
ただでさえ、未だに顔を合わせると微妙な空気が漂うんだから。
そうは思えど、OKしてしまったことを今さらなかったことにはできず、日曜日に遼くんとデートに行くことになった。



