もしかしたら、蓮くんか葵くんに用事があったのかもしれない。
でも、それなら電話とかで連絡を取ればいいよね?
わざわざ学校にまで来るなんて……
まさか私のことを……なんてことは無いよね?
うん、ありえない。
ありえないけど……
「私も雅さん見に行きたいな〜」
「ダメ!絶対……!私は見つからないように帰る」
校門前で声なんてかけられたら……
私の命はこれまでだ。
「えー、挨拶くらいしたい」
「ダメダメっ!絶対ダメっ!!」
なんとかこの状況から脱しなければいけない。
学校に裏口とかがあったらよかったのに。
この学校には、校門がある正面の入口しか出入り出来るところがない。
上手くあの人ごみに紛れて脱出する他、手段はない。
「じゃあ、私は帰る」
「え、ちょっと待ってよ、絃」



