「ねぇ、絃!ちょっと見に行ってみない?」
「えっ、ちょっと瞳!」
私の有無も聞かず、腕を引かれて窓際に連れていかれる。
間を縫って見えた、校門前の様子。
その集団の中心に、背の高い男の人が1人。
なんかあの背格好、見たことあるんだよなぁ……
「あの人って、噂の雅さんだよね?」
「私、初めて見たよ!ねぇ、もっと近くで見に行こ?」
「うん、行こいこー!」
……?
ザワつく中で、隣にいたクラスメイトの会話が耳に入る。
今、なんて……
「ねぇ絃、聞いた?雅さんって、もしかしてあの雅さん?」
「ま、まさかぁ……」
雅さんが高校に?
克服し始めてるとはいえ、女嫌いの雅さんがあんなに多くの女子高生に囲まれているなんて、想像がつかないけど……
もし本当にそうだったら?



