「えっと、ここが理科室でそっちが社会科室」
そう言いつつも、しっかり校内を案内している私を誰が褒めて欲しい。
そうだ、あとで瞳にたくさん褒めてもらおう。
「……!」
特別教室の方は、クラスからは離れていて特に昼休みの今は人気が少ない。
そんな静かな廊下には、壁を叩くダンっという音は大きく響いた。
「り、遼くん……?」
壁に手をつかれて、私は壁と遼くんの間に挟まれる。
「本当に絃ちゃんのこと、俺のものにしちゃいたいなぁ」
「な、なに、言ってるの……」
近い、顔が近い。
「これなんて言うの。一目惚れ?ってやつ?遊びじゃなくて本気だよ?」
甘い声で囁く遼くんのその言葉は、私の胸をドキドキさせるには十分。
佐伯家は3兄弟だけじゃなくて、従兄弟までこんなんなの?



