「じゃあお皿、拭いてしまってくれる?」
「あ、はい」
私だけがあたふたしていて、すっかり冷静な雅さんに戻っている。
私は言われた通りに、雅さんが洗ったお皿を拭いて、食器棚へとしまっていった。
「あー、雅兄!絃ちゃんのこと独り占めしてる」
「さっきまでくっついてたのは誰?早くお風呂入ってきたら?蓮も」
……雅さん、相当根に持ってるかも。
そう言われた蓮くんと葵くんは、不機嫌そうにしながらもリビングから出ていった。
「それで、何に悩んでんの?」
「え?」
「あんなにため息ついて、何かあったんじゃないの?」
雅さんって人は……
そんなこともわかってしまうなんて。
本当に優しさが滲み出てる。



