「で、何よ?今日だって何かあったんでしょ?」
瞳の言う何か。
そんなの、毎日ありますよ。
今日なら……
「朝から、早く起きないとキスしちゃうよ?なんて葵くんに言われて起こされるし……」
「それで、それで?」
「葵くんから引き離すように、雅さんに腕を引かれて……」
「ふぅーっ!」
……瞳さん、テンションおかしくないですか?
明らかに私の話を聞いて楽しんでるようにしか見えないんだけど。
「あ、でも、蓮くんは相変わらず嫌味ばっかり」
「ふーん。蓮くん素直にならないと、絃取られちゃうよ」
「放っとけ」
「……!?」
瞳とお弁当を囲んで話していたのに、何故か蓮くんの声が聞こえる。
「素直じゃないんだね、蓮くんは」
すっと隣を通り過ぎて行った蓮くんの背中を見て、そう答える瞳。
そうなんだよ、蓮くんは素直じゃないの。
……素直になったらなったで困るけど。



