八城先生と七海先生が言う。
その言葉にハッとしたように皆が各々の魔具を取り出す。



[そこの者共よ。]



攻撃の構えをとったとき、ゼウスの声が聞こえ、そちらを向くとゼウスがこちらを真っ直ぐ見ていた。

全員が首を傾げるとニヤリと笑って‥‥



[10分稼げ]


『‥‥10分?』


[そうだ。
それだけあれば、あやつらが倒せる。]



そう言うゼウス。

なんのことかと思い何気なく眞佳先輩たちに目を向けると、結界を張りながら残り一枚の黒の式紙を胸の前ではさみ持ち目を閉じて、呪文を唱えている2人。

タナトスの攻撃を受けているため結界が揺れている。



[結界が壊れてしまえばあやつらが死ぬがのぉ。]


『なっ!?』




ゼウスの言葉に全員が目を見開く。
その瞬間、ピシッ!と音がなり結界にヒビが入る。




[我が出来るのはあやつらに力を貸し与えること。
これ以上はもう出来ぬ。

神界に帰らねばならぬでな。
よいか。

10分じゃ。
それだけあれば、主らの勝ちじゃよ。]



そう言うと、いい逃げのように消えていくゼウス。




「やべぇぞ!」




雪乃先輩のそんな声で再び眞佳先輩と兄さんに目を戻すと、音を立ててヒビがどんどん広がっていく。

しかし、2人は目を閉じたまま呪文を唱えることをやめない。