こうして先生が職員会議で抜けて
尊くんとふたりっきり。


わたしは配られた課題をもくもくとひとりで解く。


だけど、なぜか隣から視線を感じて
チラッとそちらに目を向けると
バッチリ目が合った。


「ど、どうしたの?」

「んー、別にどうもしない。ただ千湖が必死に勉強してるの観察してるだけ」


頬杖をついて、なんとも余裕そう。
とても補習を受けにきている生徒の態度とは思えない。

教科書とか辞書とか何にも出してないし。


「尊くんもちゃんとやったほうがいいよ?やってなかったらあとで先生に怒られちゃうよ?」


パラパラっと辞書をめくりながら
尊くんにそう言うと。


「僕は千湖みたいにバカじゃないし」

「はぁ!?」


さらっとバカ扱いされた。
いやいや、補習受けてる時点で尊くんもわたしと一緒じゃん!