いつもは尊くんに押されっぱなしで、振り回されっぱなし。


だけど……。



「尊くん……」

「……ん、どーしたの?」


わたしが好きって伝えたら彼はなんて答えるだろう。


緩く締められたネクタイをグッと引っ張って、尊くんとの距離を詰める。


そんなわたしの行動に驚いたのか
目を大きく見開いてこちらを見ていた。


どうせなら、一度くらい……


「好き……━━━」


伝えてみてもいいんじゃないかって。


思った時には口に出していた。


だけど、臆病なわたしは


「……って言ったらどうする?」


余計な言葉を付け足してしまう。


勢い任せで言ってしまったけど、尊くんの反応が気になって見つめると。


「……千湖のくせに生意気じゃん」


なんて言葉が返ってきて。