何やら図書室の扉が開いた音がする。
誰か利用する人が来たっぽい。

これは早いところ退散して読書のお邪魔しちゃいけないやつだ。


そっと、本を返却して帰ろうとした。


だけど。


「こんなところに呼び出してごめんなさいっ」

「………」


男女ふたり。
ひとりの女の子は見覚えがない。


しかし、男の子はガッツリ見覚えあり。


……尊くんだ。


すぐさま本棚の陰に隠れて身を隠す。



そう、この時さっさと退散しておけばよかったのに


きっと告白されるんだって思ったら
気になってしまって、思わず退散せずに隠れてしまった。


少し距離はあるけど、ふたりがよく見えるこの位置。

会話も頑張れば拾えるくらい。