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「ねぇ、尊くん?」

放課後、今日は学校が早く閉まってしまう日なので、尊くんのお家にお邪魔している。

「どーかした?」

取り壊しのことを知っているのか、知らないのか。

呑気にわたしが作ってきたチョコのマフィンを食べている。


「あの部屋……取り壊しになるんだって」

と、わたしが落ち込みながら伝えてみたら。

「へー、そう」

なんとも、うすーいリアクションで返されてしまって、さらにショックを受けた。


「リアクション薄くないですか?」

「そう?別にふつーだけど。てか、これ美味しい。もう一個ちょーだい」


ショボンっと落ち込むわたしを無視して、ふたつめのマフィンを手に取り、黙々と食べている。


わたしだけなのかなぁ、こんな風にいろんな想いがあるのは。

尊くんにとっては、たいしてそんなに思い出のない場所にしかすぎないのかなぁ。