ちょっと付いてきて欲しいと言われ、無言で頷き連れてこられた場所は、空園先生の部屋でもある、数学準備室。


「はーい、じゃあこれ着てみて?」

「……え?」

入るなり、紙袋を渡されて、中に入っているものに着替えてと指示をされた。


「今回ね、衣装借りに行ったところで特別に一着だけ借りてきたものなの」

「は、はぁ……」


「それをせっかくだから花井さんに着てもらおうと思ってねっ」


うわぁぁぁ……黒い笑顔。
間違いなく、中にはとんでもないものが入ってるに違いない。

着替える間、空園先生は外に出てくれた。


恐る恐る、中身を取り出してみると。

絶句した。

驚いて声も出ない。

な、何ですか、これは。


これをわたしに着ろと?
いやいや、いくらなんでも無理があるんじゃ?