「ねぇ、せっかく2人っきりなんだからさぁ……」


ほぼゼロに近い2人の距離。

空園先生が尊くんに迫る姿が視界に飛び込んできた。


「秘密で……」


ここからでも見える……

迫る姿は、それはもう魅力的で……

表情、仕草……

ぜんぶ

ぜんぶ

わたしが持っていないものを、空園先生は全て持っている。


何ひとつ敵う気がしない……。


空園先生の指が、尊くんのネクタイに手をかけたのが見えた。

そして。


「相手してあげる」


スッと腕を尊くんの首に絡ませて。

2人の影が重なる寸前。


わずかな隙間だったのに

フッと笑った顔が見えた。

たしかに目が合った、こちらを見ていた。

その時、気づいた。

目的はこれだったんだと……。


……そして、完全に2人の距離がゼロになった。