それから、何気ない話をした。
「ねー。私のこと、いつから思ってくれてた?」
私は気になっていた話題を持ち出す。まさか、数分前はこんな展開になるとは思ってなかった。振られて、明日は気まずい、どうしようなオチかと思ってたから、こんな会話が出来て、すごく幸せだった。
「うーん。いつかな…始業式くらいかな?未宇は、僕のこといつから思ってくれてた?」
(えっ、ほぼ同時期に…)
「あっ、じゃあ、私の方がちょっと先だね。私は、隣の席になった時からだから」
運命かんじたんで。と心の中で言う。
「早いね」
「始業式でも、早いくらいでしょ」
「そうかな」
「そうだよ」
好きになった時期の話や、
「ねえ、もう付き合ってるんだよね?」
お願い、うんって言って。
「うん…多分?」
「多分!?うんって言ってよ」
「じゃあ…うん」
やった、ちょっと強引だけど…。
「学校の帰りは、一緒に帰れない?」
「柔道部だから帰り遅いよ?」
「いいよ、待ってるから」
「ほんとに?長いよ、きっと」
「いいよ、待ってるって」
「朝も一緒に行こう?」
「じゃあ、7時半に〇〇薬局前でいい?」
「おっけー」
一緒に登下校する約束までした!我ながら大胆だなあ。
「待ってもらうって、なんか悪いなあ」
「じゃあ、またデートしてよ」
「そんなに未宇ちゃん、大胆だっけ?」
「未宇でいいよ〜。翔くんの方が、大胆じゃないかな」
「だね。今日で実感したよ。翔でいいよ」
「んんー。未宇って呼んでくれたら、翔って呼ぶよ。はい、言ってみて?未宇、好きだよって」
好きだよって言ってくれるのかな。
「ええ。なんか、バカップルみたい」
ほんとだよ。
「違うよ、純粋な中学生のお付き合いだよ」
「ほんとかなあ。うーん。男子の方が知識が遅れてるのかもね」
純粋な中学生のお付き合いだよ?
「絶対そうだよ。とりあえず、言ってみてよ〜」
「あー。もう、ハズイじゃん」
ごめん、だよね。
「はい、どーぞ」
「未宇…好きだよ。…はい!次、未宇の番ね」
ほんとに、言ってくれた…。優しいなあ。
「うわぁ、ほんとに言ったね〜。キュンときたよー」
それはほんとだよ。
「はい、次は未宇の番だよ。なんか、言い損した気分だよ」
え、私も?よーしっ。
「翔、好きだよ。ずっとずっと、好きだよ」
翔は顔が赤くなっていた。多分、私も。
私は言った。
「これから、よろしくね」
翔は言った。
「これから、よろしく」