男女七人夢物語




「あっ、そうだ。今度新しくできたカフェ、一緒に行こうよ」

「うん、いいよ」


笑顔で頷いた私はウソをついた。

学校の中でぼっちになるのは嫌だけど、プライベートまでこのオトモダチと過ごしたいとは思わない。


私は家に帰って、また人には語れない夢を追いかける。オトモダチごっこしてる暇はない。


そんな自分は酷いトモダチだと思う。そんなの分かってる。良いご身分だと皮肉られても仕方ない。


でも、まだ止められない。
諦めきれない。


きっと、私が完全に大人になってしまうまで。


「お前らー、座れよー。ホームルーム始まるからなー」


先生が教室に入ってきて、私のオトモダチは私に手を振った。私も振り返した。前に向き直る。

ああ、今日の最後はホームルームなのか。


「じゃあ、三年の新学期も始まったことだし、そろそろ役員決めようと思う。まあ、前のメンバーでいいなら俺はそれでいいぞ」

そう、この学校は二年から三年になるとき、クラス替えはない。新しいオトモダチを作るのは正直面倒だったから、それは私にとって朗報だった。


そんなわけで案の定、


「じゃー俺、この間と同じ副議長やりたい」

そう言い出したのは斎京也。


「えー、なにそれ。京也いっつも副じゃん。そんなにやりたいなら議長やんなよ」

「やだよ。副だからいいじゃん」

「うわー、グズ」

「副議長って、実際は係よりも仕事ないしねー」


そう周りは批判してるように言うが、実際はただの軽口。みんな笑顔で斎京也が副議長やることに不満は無さそうだ。



ちなみに私も不満はない。こういうのはやりたい人が勝手にやればいいんだ。