学生があまり通らない道だし、広いし、と嬉々と語る木下雪乃に驚いた。


木下雪乃は本気だ。


学校祭とか、そういうんじゃなくて、自分がどこまで行けるかに挑戦しようとしている。


いや、私が知らなかっただけだったのかもしれない。


きっと、木下雪乃はクラスの人気者をキャスティングしたんじゃない。


自分がどこまでやれるか挑戦しようとしてる仲間を集めただけなのだ。


それじゃあ、ただこの公園で演技してるだけで何かに挑戦しようとしてなかった私が選ばれるわけなかった。


なんだか笑えた。

被害者妄想にも程がある。


一番なりたくない自分に成り下がるところだった。


「いいよ。私のものじゃないし。実は誰かと演技したことなんてなかったし」


思ってるだけじゃ、叶わない夢だ。


語れない夢で終わらせたくないなら、このチャンス無駄には出来ない。


挑戦してみよう。周りとか、自分の劣等感とか、脇役とか関係なく、自分がどこまで行けるかを。


語れない夢を見せてくれると、なぜだか信じられた。