けど、
どれくらい見つめあっていただろうか、それは分からない。でも私が何か答えようとした、ちょうどその時だった。
「失礼。不躾でした。私はこれから先生を探さなければいけないので、もう行きます」
「あっはい」
あまりにも呆気ない終わりだった。
なぜ、自分の夢を語ってしまいたくなったのかも分からないし、時間が経つにつれて、自分にそんなつもり本当にあったのかと疑問に思うようになった。
とにかく、一つ分かったのは、流石は加々見学だということだ。
加々見学はうちの学校の生徒会長であり、成績は常に一位。親は議員さんで、彼本人もその道を行くともっぱらの噂だ。
彼を見ていると、人の上に立つ者の言葉に力があるというのはあながち間違いではないのかもしれないと思える。
何にしても、諦めの良い人で良かった。
きっと、加々見学は私が小説を書いてることを笑いものにする人間ではないはずだ。
私はそう固く信じていた。


