“もしも、あなたの家族がこちら側だったなら。
あなたは耐えることができますか?”


“そう言うお前はどうなんだよ。”


“私…ですか。
きっと耐えられないでしょうね。

汐が闇に染まるなど考えたくありません。”


“ははっ!お前も人なんだなー

けど、俺も兄貴がこっち側に来たら耐えれねぇかもな。
やっぱ家族には表で笑ってて欲しいからさー”


“では。
あなたはいつか迎えるその日を耐えれるくらい。
強くならねばなりませんよ”


“はぁ?どういう意味だよ”


“分からなくて構いません。
今は………ね。”






あの時は言葉の意味を理解できなかった。
だけど、今ならわかる。

澪は知ってたんだ。
兄貴がこっち側だってこと。

いつかこの日を迎え、こっち側の人間として話さなければならないこと。






「お前がこっち側ってのは澪や凜音さんから聞いてた。
今まで会えなくてごめんな。」


『別に…ってか、凜音さんのこと知ってんの?』