『そーいや。
迎えって誰?』


「翼も知ってる人ですよ。」




黒のスラックスに、水色のカッターシャツ。
黒のジャケットを羽織った、黒羽でもなく雫石のオーナーでもない澪は面白そうに笑って言う。


要さん?

いや。
要さんがわざわざ俺らの足になるわけない。

凜音さんは呼び出した側だから、迎えに来るなら澪の家で話せばいいし‥‥。

ほかにいたっけ??


そんなことを考えていると、目の前にある黒の車。

つか、ベンツ?
高級車だし中は見ないはずなんだけど、澪は何の躊躇いもなく窓を三回ノックする。

すると窓が開けられて中の人が顔を覗かせた。





『あ!あの時のおねぇ!!』


「失礼なガキだな。
おい、澪。ちゃんと躾しとけ。」


「ふふっ。私も初めは同じ反応だったではありませんか。
許してあげてください、秋雨さん。」




あれ?
おねぇじゃねぇの?

つか、澪と顔見知り?




「翼。
この人は荻原 秋雨-ogiwara shuu-さん。

警視庁 裏得策部のトップの方ですよ。」


『警視庁 裏得策部?』


「まあ、とりあえず車に乗れ。
中で説明すりゃいいだろ。」


「そうですね。」