「返せよ。中身も全部」


そう言って勇志が右手を差し出す。


そこで素直に返していればいいものを、2年生はヘラッと笑って財布を自分のポケットへねじ込んだ。


「悪いな。これはその1年からもらったんだ。もう俺のものだ」


人を馬鹿にしたような口調が勇志に火をつけた。


「もらっただと? よくそんな事が言えるな!」


勇志が怒鳴り、2年生に掴みかかる。


しかし2年の方が動きが早かった。