「どうして昨日沙希の誘いを断ったのよ?」


昨日……あぁ、そういえばそう言う事もあったっけ。


A10の動画を見つけてしまってから、すっかり忘れてしまっていた。


「昨日は用事があったんだよ」


「用事って、まさかデート?」


スミレが真剣な表情でそう聞いてくるので、俺はプッとふきだしてしまった。


「俺、あいにく彼女いないから。ってか、知ってるだろお前」


「そうだよね。よかった」


ホッと胸をなで下ろしているスミレに俺は首を傾げた。


「お前、今の返事ちょっと失礼だろ」


「ごめんごめん。でもさ、彼女いないなら沙希と付き合っちゃえばいいのに」


スミレの言葉に俺の心臓はドクンッと大きく跳ねた。


それは、沙希も俺の事が好きだとバラしているようなものだった。


沙希の気持ちに全く気が付いていなかったわけじゃない。


正直に言えば気が付いていた。