こんな状態で沙希と2人きりになんてなれない。


俺は自分の中に、自分で想像する以上の悪魔が潜んでいるのではないかと、不安に感じる事があった。


あんな動画を好んで見ているせいか、俺の残虐性が増して行っているような気がするのだ。


もちろん、自分自身が何かをしたりすることはない。


でも、いつその歯止めが利かなくなるか不安になる時もあった。


「引き止めてごめんね。本、また紹介してね」


何も言えずに突っ立っていた俺に、沙希は早口でそう言って早足で下駄箱を後にしてしまったのだった。