痛みはもう引いているし、きっとほっておいても大丈夫だろうと、心の中で思う。


制服を直し、カバンを持って立ち上がる。


本当はもう少しここにいたい気分だ。


池田先生の甘い香りをかいでいると、心が落ち着いてくる気がする。


「あの、ユリたちはどうなるんですか?」


そう聞くと、池田先生は少しだけ暗い表情になった。


「どうかしらね……。スタンガンで同級生を脅して殺し合いをさせようとするなんて、前代未聞だもの。学校にはもういられないかもしれないわね」


「そう……ですか……」


わかっていたことだけれど、あの3人は退学になる可能性が高いようだ。


《マッドマン・ムービー》があの3人を狂わせた。


その話をしようかと思ったが、寸前のところで言葉を飲みこんだ。


池田先生にそんなことを話したってきっとどうにもならない。


巻き込んでしまうことになるだけだろう。