王宮の裏口(と思われる)から入ると、
思っていたより中はシンプルな作りだった。
長い長い廊下は現実離れしているが、
規則正しく並ぶ木製の扉と
これまた規則正しく並ぶ大きめの窓。
窓から見える景色は城の敷地内だというのに、
綺麗な草木たちが立ち並んでいた。
それにしても…クエン歩くの早い!
まだ私この世界に慣れてないんだから、少しは気を使ってよ。
「………。」
彼の数歩後ろを不貞腐れながら歩いていると、
何の気なしに歩調が緩くなった。
……あれ、気を使ってくれたのかな?
あんなズケズケ言ってきてたのに…
意外と紳士なとこあるんだ。
ハゲろ、なんて思ってごめん。

