「…ここは…。」
「……第一声が質問ですか。まぁ今日のところは大目に見ましょう。ここは、フランツ王国。そして、これがフランツ王国、八代目国王トール・フランツ様とその第一王子レジェ・フランツ様がお住まいの王宮です。」
そういって開かれた扉から出ると、
目の前にはおとぎ話の中に出てきそうなお城があった。
大きい。
その存在感に圧倒される。
目を細めてしまうほど高い壁と
端の見えないほど長い塀。
ほとんどが白く、
屋根や窓枠の色がくっきりと目に焼き付くようだ。
こんなお城が本当に存在するんだ…。
今は信じられないという気持ちよりも、
感動の方が大きかった。
「……素敵。」
「置いていきますよ。」
「あ、待って…!…下さい…。」
「……バカなりに敬語は使えるみたいですね。」
…さっきから、バカバカ失礼じゃない?
確かに…良くはないかもしれないけど…。
学校では上位の方キープしてたし、
そんな言われるほどではないはずなんだけどなぁ。
…まぁ、この世界で“学校”なんて概念が通用すれば、
の話だけど。
自分で言って悲しくなったわ…。

