楪と京極

…は?

な、何だこの状況。



「…んっ」



唇に突然柔らかいものが触れ、数秒して離れた。



「僕は男だ」



そうすました顔で言った百千悠。



呆然…としているのが自分でも分かる。



「////」



と、さっきに増して顔面真っ赤っ赤だ。



ただ、目だけはしっかりと反らさず私を射抜いていた。



殺気でも、恐怖でも、嫌悪でも無いそれは、

恥ずかしい、やってやったという違う感情が入り混じっていて、慣れないものの。



「…初めて、取られたな」



ボソッとそう呟いていた。



指先で自分の唇に触れる。

まだ熱が残っていた。



「…へ?」



「…」

家には1つ、守られてはいるが強制はしない伝統…のようなものがある。



それは、家族以外で初めて唇を奪った者を番とすること。

番。つまり生涯の伴侶だ。



…婚約者、か。



「あわ…あわわ///」



「え?」



私を他所に、百千悠はどうやらやっと外野の存在を認識したらしい。



「悠が…悠がキスして…しかもされるじゃなくてしてた//」



「わ、わわ私達はえーっと…あの、そ、そう!居るかなーって思って来たの!」



「…男らしいぞ、悠…ブフッ」



「///」



私のネクタイを口元に当て外野から目を反らし、私を見つめる百千悠。



「?」



「///」



分かるように首を傾げたものの、反応はほとんどなく頬を染めるだけだった。



「あー、笑った笑った」



「!」

ーパッ



ビクッと反応してネクタイを放すと、外野の方を見た百…悠。