楪と京極

連れて行かれた屋上。

フェンス寄りの場所に立って向かい合う。



「本当に、何も聞いてない?」



「あぁ」



「そっかー…」



マジか…って感じの顔をする…護衛扱い。

おそらく、百千悠の家が家に依頼したんだろうが。



「じゃあ手短に言うね」



百千…。

何か覚えがあるような無いような…。



あと何か扉越しに聞き耳立ててる奴が数人。



「霞には、僕と婚約してもらう」



「…ん?」



真面目な顔で言われたものの、婚約…。

婚約…って、あの婚約だよな?



結婚の約束、許嫁なんかの。



「婚約」



聞き間違いではない。



「こ、ん、や、く」

「…聞こえている」



声を遮ってそう言って、まじまじと見た。