だから怖い。
さすがにそんなことはしないと思うけど、ずっと好きだから。……溜まりに溜まった欲望やら気持ちやらが爆発したら、自分でもどうするかわからない。
「でもさあ……
衣沙ってなるちゃんのこと好き好き言う割に、まわり牽制するだけで行動しないよね」
「……だって」
「だって?」
「……なるみのこと見てるだけで思考爆発しそうなのに、行動とか無理。
言っとくけどなるみの手料理もヘアアレンジしてもらえんのも毎回まじで嬉しいのにどうしろと!?っていうかもうすでにかなり贅沢じゃん!?」
「……なるみのことになるとキャラ崩壊するね」
だってただのクラスメイトだったら、手料理も作ってもらえなければ、ヘアアレンジもしてもらえない。
これは俺となるみがずっと一緒にいるからしてもらえるだけで、当然ほかのヤツに譲る気もない。
「誕プレとかクリスマスとかバレンタインとか毎回なるみからもらえるもん全部ガチで喜ぶけど!?
しかも好みどストライクだったら死ぬほど嬉しいけど!?なるみのこと好きすぎてやばいむり」
「ついでに語彙力も低下してるよ衣沙。
……というかそこまでウザいくらいに溺愛してるのに、なるちゃんもよく気づかないもんだね」
「俺がなるみの前でヘタレだって言った?」
「いま自分で言ったよね?
俺ヘタレなんて一言も言ってないよ?」
……だって自覚あるし。
ヘタレだな、って自覚してるし。
「……っていうかさ。
もう満月のこと好きって嘘、撤回すれば?」
ベッドの上で無意味にごろごろと転がる。
満月ちゃんのことが好き、ねえ。……もちろんそれは嘘なわけだけど、撤回したところで、なるみが俺を好きになるのはまた別問題だろ。