だめですか?って聞かれても。
……というか、女の人としてみてます、って言われても。だめではないけど、はっきり言うなら困る。
「さお、」
「なるちゃんあっちに桜味のソフトクリームあるんだってさ~。
ツキと話してないで、一緒に買いに行かねえ?」
「衣沙……」
なんてタイミングの悪い。
さっきまで、ひとりだけ女の子たちをナンパして楽しんでたくせに。
「ちょっと衣沙さん邪魔しないでください」
ブルーシートの外からわたしを呼ぶ衣沙に、遠慮なく文句を吐き出すさお。衣沙にこんな口をきけるのも、彼だけのような気がする。
「なるみ」と、わたしを急かす衣沙。
「ソフトクリームなんて後でいいですよね?」
いや……そもそも食べるとも言ってないんだけど。
でも衣沙が誘ってくれるなら、行ってもいいかな、なんて。
「じゃあ、3人で行こう。それならいいでしょ?」
考えることが自分らしくなくて、我ながら呆れる。
さおの手を引いて、立ち上がった。ブルーシートの脇置いてある靴に足を入れてから、さおの手を離す。
「欲しいなら自分ひとりで行けばいいじゃないですか。
ひとりで買い物くらい出来ますよね?」
「お前ほんとに俺のこと嫌いだな。
……残念だけど俺はべつにソフトクリームにそこまで興味ねえんだよ~。"期間限定"にめちゃくちゃ弱いなるみのために誘っただけ」
わたしを挟んで、何やら言い合うふたり。
どうでもいいけど、衣沙とさおを連れて歩くと必然的に女の子たちの目が全部こっちに向くから怖い。もはや目立つとかいうレベルじゃない。



